Bi'laxsコラム
更年期のデリケートゾーンのかゆみの原因は?閉経後の陰部のケア方法も
この記事では、更年期のデリケートゾーンでかゆみが起こる主な原因を紹介します。
更年期とは閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた計10年の期間を指します。閉経の時期は個人差があるものの、日本人の平均閉経年齢は50歳とされているため、更年期は45〜55歳であることが一般的です。
更年期は、女性ホルモンのバランスが変化して、さまざまな心身の不調を伴います。その1つに、デリケートゾーンのかゆみが挙げられます。
この記事では、閉経後の陰部のケア方法についても解説していきます。デリケートゾーンのかゆみを和らげるヒントがわかるので、更年期にさしかかりデリケートゾーンのかゆみで悩んでいる人は、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● まずは更年期に起こるデリケートゾーンの変化を確認
● 更年期に起こるデリケートゾーンのかゆみの原因
● 更年期に起こるデリケートゾーンのかゆみのケア方法
まずは更年期に起こるデリケートゾーンの変化を確認
更年期には、女性ホルモンのバランスが乱れ、デリケートゾーンにさまざまな変化が生じます。更年期に起こるデリケートゾーンの変化は以下の通りです。
- 乾燥しがちで刺激に弱くなる
- 粘液やおりものの量が減少する
- かぶれやかゆみが長期間続きやすくなる
3つの変化について解説していくので確認してみましょう。
乾燥しがちで刺激に弱くなる
女性ホルモンの1つである『エストロゲン』には、肌の水分を保つ作用があります。エストロゲンが十分に分泌されていると、みずみずしい肌へ導き、バリア機能をキープできます。
しかし、更年期は卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が不十分となり、肌の乾燥を自覚しやすくなります。
特に、デリケートゾーンは粘膜に近くて刺激に弱いだけでなく、日常的に刺激を受ける部位です。おりものシートや締め付けの強い下着、洗浄力が強すぎるボディソープなどの刺激は、デリケートゾーンのかゆみにつながりやすいといえます。
粘液やおりものの量が減少する
エストロゲンの分泌量は、腟の粘液やおりものの量にも影響します。
更年期にさしかかると、デリケートゾーンのかゆみだけでなく、性交時の潤い不足や痛みに悩む女性は少なくありません。
エストロゲンが減少すると、腟壁や子宮頚管から分泌される粘液も減少し、腟が乾燥しやすくなります。
そのため、デリケートゾーンのかゆみや不快感などの症状を自覚するようになります。人によっては、わずかな刺激で出血することもあります。
かぶれやかゆみが長期間続きやすくなる
腟内には多くの常在菌が存在しており、中でも『デーデルライン桿菌(かんきん)』という善玉の乳酸菌は腟の自浄作用が期待できます。腟内を弱酸性に保ち、細菌感染を防ぎます。
しかし、エストロゲンの分泌量が低下すると腟内のpHバランスが崩れ、アルカリ性に偏ります。細菌感染が起こりやすくなり、デリケートゾーンのさまざまなトラブルの原因になりやすいといえます。
そのため、デリケートゾーンのかぶれやかゆみが長期化するケースは少なくありません。
更年期に起こるデリケートゾーンのかゆみの原因
デリケートゾーンのかゆみは、さまざまな原因によって引き起こされます。原因を把握できれば、適切なケアに繋げられます。
- おりものシートや下着などによるかぶれ
- 女性ホルモンの低下
- 感染症
- カンジダ腟炎
- 萎縮性腟炎
- GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)
順番に解説していきます。
おりものシートや下着などによるかぶれ
デリケートゾーンの乾燥はバリア機能が弱まるため、ささいな刺激でもかぶれやすくなります。
デリケートゾーンのかぶれにつながりやすいのは、以下の生活習慣です。
- 肌質に合わない洗浄剤を使用している
- 温水洗浄便座を頻繁に使いすぎている
- 不潔なおりものシートを長時間装着したまま過ごしている
- 下着の締め付けが強い
- カミソリによるムダ毛の処理で肌に負担がかかっている
肌に優しい洗浄剤や保湿剤を取り入れたり、締め付けの強くない下着を選んだりして、できるだけデリケートゾーンに刺激を与えないようにしましょう。
また、ムダ毛の処理を頻繁に繰り返しているなら、エステサロンや医療クリニックで脱毛を受けるのもおすすめです。
女性ホルモンの低下
先述の通り、更年期の女性は卵巣機能の低下によって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少します。デリケートゾーンの肌や内部の乾燥を招き、かゆみにつながりやすいといえます。
また、バリア機能が弱まることでかぶれや乾燥が長期化するケースも少なくありません。更年期によるさまざまな不調は、適切な治療を受けることで軽減が期待できます。
我慢せず、婦人科を受診して相談してみましょう。
感染症
毛穴への細菌感染で起こる『毛のう炎』や、腟の入り口付近に膿が溜まる『バルトリン腺のう胞』などの感染症は、デリケートゾーンのかゆみや痛みを生じます。
また、性器クラミジアやトリコモナス腟炎、梅毒といった性感染症にも注意が必要です。デリケートゾーンのかゆみやおりものの変化といった症状が起こります。
デリケートゾーンのかゆみに伴って痛みや潰瘍ができている場合、性器ヘルペスの可能性があります。
女性は性感染症の自覚症状が現れにくく、気がつかないうちに症状が進行しているケースも多くあります。おりものの臭いや色の変化などから性感染症を疑った場合、婦人科で検査を受け、治療を開始しましょう。
また、性感染症は女性だけでなく、パートナーも感染している可能性があります。性感染症と診断されたら、パートナーにも受診を勧めましょう。
カンジダ腟炎
カンジダ腟炎は性感染症ではなく、腟内の常在菌のバランスが生じることで起こる腟の炎症です。カンジダ腟炎を引き起こす原因は、主に以下の通りです。
- ストレスや睡眠不足
- 引っ越しや転職など環境の変化
- 生理や体調不良
- 抗菌薬を服用したとき
不規則な生活やストレスは免疫力が低下するため、カンジダ腟炎を引き起こしやすくなります。
カンジダ腟炎になってしまった場合、婦人科で腟錠や塗り薬を処方してもらうほか、バランスの取れた食事や十分な睡眠の確保なども心がけ、再発を防ぎましょう。
萎縮性腟炎
本来、腟粘膜は潤いと弾力がありますが、エストロゲンの分泌量が低下すると、腟や外陰部の乾燥・萎縮を招きます。萎縮性腟炎では主に以下の症状が現れることがあります。
- デリケートゾーンのかゆみや痛み、違和感がある
- 悪臭のあるおりものや、黄色・茶色いおりものが見られる
- 歩いている際に摩擦で痛みが生じる
- 性交痛が生じる
萎縮性腟炎が生じた場合、塗り薬や貼り薬、内服薬といった女性ホルモンの補充療法が効果的です。
また、デリケートゾーンの乾燥やかゆみ、性交痛などの症状は、腟レーザーによって緩和が見込めます。「萎縮性腟炎の可能性がある」と感じたら、婦人科の受診を検討してみましょう。
GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)
GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)とは、更年期に生じるデリケートゾーンのトラブルの総称です。GSMの主な症状は以下の通りです。
腟症状 | デリケートゾーンのかゆみや痛み、不快感 |
排尿症状 | 尿漏れや頻尿、再発性膀胱炎 |
性機能症状 | 性交痛や性交時・性交後の出血 |
※参考:閉経関連尿路性器症候群 (GSM)| 二宮レディースクリニック【泌尿器科・婦人科・女医】
加齢に伴って卵巣機能が低下すると、エストロゲンやテストステロンの分泌量が低下するため、外陰部の粘膜が弱まります。
外陰部の粘膜が弱くなることで、デリケートゾーンのかゆみや痛みを始めとしたさまざまな症状が起こりやすくなります。
特に、尿漏れはデリケートゾーンのかぶれにつながることもあります。放置していても症状の改善は見込めないため、婦人科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
更年期に起こるデリケートゾーンのかゆみのケア方法
デリケートゾーンの悩みを周囲に相談できず、「婦人科の受診もハードルが高い」と感じている人は少なくありません。
婦人科に行かなくても、適切なケア方法を取り入れることでデリケートゾーンのかゆみを解消できる可能性があります。デリケートゾーンのかゆみのケア方法は以下の通りです。
- 低刺激の洗浄剤を使用する
- 保湿ケアを十分に行う
- おりものシートや下着の着用方法に注意する
- 市販の薬を使用する
- どうしてもかゆみが収まらない場合は医療機関に相談する
上記5つのケア方法について解説していきます。
低刺激の洗浄剤を使用する
刺激の強い洗浄剤を使用すると、デリケートゾーンの乾燥やかぶれといったトラブルを引き起こしやすくなります。デリケートゾーンを洗う際は、低刺激性の洗浄剤を使用しましょう。
また、肌に優しい洗い方を心がけることも重要なポイントです。
- 洗浄剤はしっかりと泡立てる
- ボディタオルではなく指の腹で丁寧に洗う
- 洗うのは小陰唇までで腟の中までは洗わない
- 洗浄剤は洗い流し、洗い残しがないようにする
デリケートゾーンは汚れが溜まりやすい部位であるため、大陰唇や小陰唇の内側を優しく洗いましょう。
腟の中まで洗ってしまうと常在菌のバランスが崩れ、自浄作用が正常に機能しなくなってしまいます。清潔に保とうとして、腟の中まで指を入れて洗わないように注意してください。
保湿ケアを十分に行う
入浴後にタオルで水分を拭き取ったら、デリケートゾーンの保湿ケアも入念に行いましょう。ボディクリームやオイルなど、普段ボディ用に使用しているものでも構いません。
できるだけ肌への刺激を抑えたいなら、デリケートゾーン用の保湿アイテムがおすすめです。
また、ヘパリン類似物質を含む保湿剤は保湿効果が高いため、乾燥が気になる人は検討してみてください。
保湿剤を塗る際は、腟口や尿道口は避け、小陰唇や大陰唇に塗り広げます。肛門周囲まで保湿したい場合、感染症予防のためにも肛門周囲は最後に塗るようにしてください。
おりものシートや下着の着用方法に注意する
おりものシートは目に見えた汚れが付着していなくても、汗を吸い込んでいます。長時間着用したままでいると、蒸れてかぶれやすくなるでしょう。
また、少量の経血や尿、おりものなどが付着していると、雑菌が繁殖して感染症を起こしやすくなります。おりものシートはトイレに行くたびに交換するのがおすすめです。
さらに、締め付けの強い下着は摩擦が起こりやすく、乾燥しがちなデリケートゾーンに負担がかかります。締め付けの強くない下着や、綿など肌に優しい素材の下着を選びましょう。
市販の薬を使用する
カンジダ腟炎を繰り返している場合、市販薬で様子を見るのも選択肢の1つです。
忙しくて婦人科を受診する時間がない人や、仕事の都合で診療時間に間に合わない人でも、入手しやすいのが特徴です。
ただし、市販薬を使用する際は用法・用量をしっかり守り、正しく使うことが大切です。
また、カンジダ腟炎はストレスや疲労などによって、免疫力が低下しているタイミングで起こりやすくなります。十分な休息やストレス解消を図り、心身に負担をかけないようにしましょう。
どうしてもかゆみが収まらない場合は医療機関に相談する
日常生活で適切なケアを取り入れてもデリケートゾーンのかゆみが収まらない場合、医療機関を受診しましょう。
思いがけない原因が、デリケートゾーンのかゆみにつながっていることも考えられます。
また、女性ホルモンの補充療法や腟レーザーなど、医療機関でしか対応できない治療法もあります。かゆみの程度が強かったり、長引いたりしている場合は、医療機関で適切な検査を受け、治療を進めていきましょう。
更年期のデリケートゾーンに関するよくある質問
更年期のデリケートゾーンに関するよくある質問は以下の通りです。
- 更年期のデリケートゾーンのかゆみにワセリンを塗ってもよい?
- 更年期のデリケートゾーンの臭い対策は?
- 更年期のかゆみに漢方は有効?
上記3つの質問にお答えしていくので、疑問の解消にお役立てください。
更年期のデリケートゾーンのかゆみにワセリンを塗ってもよい?
デリケートゾーンのかゆみにワセリンを塗っても問題はありません。
ワセリンは肌への負担が少なく、さまざまな刺激から肌を保護するのに役立ちます。おりものや尿が肌に直接触れることを防ぎ、かぶれにくくなるでしょう。
ただし、ワセリンが効果的なのは刺激によってかゆみが生じているケースです。感染症やカンジダ腟炎といった婦人科疾患によってかゆみが生じている場合、ワセリンでは治療できません。
ワセリンを塗ってもかゆみが改善されない場合は、婦人科を受診しましょう。
更年期のデリケートゾーンの臭い対策は?
デリケートゾーンの臭いが気になる場合、デリケートゾーン専用の洗浄剤や保湿アイテムを取り入れて対策するのがおすすめです。
臭いが気になるからといってゴシゴシ洗ったり、洗浄力の強いボディソープを使ったりしないようにしてください。
更年期のかゆみに漢方は有効?
更年期によるデリケートゾーンのかゆみには、漢方薬の服用も有効です。
ただし、漢方薬は服用し始めてすぐにかゆみが緩和されるとは限りません。緩やかに体質の変化に働きかけていくものであるため、効果を実感するまでに時間がかかります。他の治療法と組み合わせることで、効果を期待しやすくなるでしょう。
また、漢方薬は体質によって合うものや合わないものがあるため、自己判断で選ぶのはおすすめできません。
東洋医学の専門医や、漢方薬に精通した医師に処方してもらうのがおすすめです。
更年期のデリケートゾーンのかゆみは正しくケアしよう
更年期の女性はエストロゲンの分泌量が減少するため、デリケートゾーンのかゆみを始めとしたさまざまなトラブルが起こりやすいといえます。
また、性感染症や婦人科疾患によって、デリケートゾーンのかゆみが生じるケースもあります。デリケートゾーンのかゆみが続く場合、低刺激性の洗浄剤や保湿アイテムを取り入れたり、こまめにおりものシートを替えたりといったケアをしましょう。
ケアを続けてもデリケートゾーンのかゆみが収まらなければ、医療機関の受診も視野に入れてください。
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