Bi'laxsコラム
更年期に汗が止まらない原因は?ホットフラッシュの予防法や対処法も解説
この記事では、更年期に汗が止まらない原因を解説します。
更年期の女性は汗の量が増えやすく、外出時などに羞恥心を伴いやすいでしょう。更年期の朝は夏場や運動後の汗と異なるため、対処法を把握していないと治まらない場合があります。
この記事では、更年期症状の1つであり急な発汗を促す、”ホットフラッシュ”の予防法と対処法もわかりやすく解説します。更年期による汗に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 更年期の汗に関する基礎知識
● 更年期に汗が止まらない原因
● 更年期が原因の汗を予防する方法
● 更年期に汗が止まらないときの対処法
更年期の汗に関する基礎知識
更年期の汗は、運動後や夏場などの汗とは異なった特徴があります。
- 汗の症状の始まり方
- 汗をかく場所
- 更年期の汗の症状や状態
ここでは、更年期の汗に関する上記3点の基礎知識を詳しく解説します。
汗の症状の始まり方
更年期の汗には、特に暑さを感じていないのに突然現れるという特徴があります。なかには、緊張や感情の昂りで汗が止まらなくなるというケースもみられます。
また、睡眠中に多量の発汗があり、寝苦しさを感じて何度も目を覚ましたり、衣類を着替える必要があったりするケースも少なくありません。
汗をかく場所
通常、運動時や暑さを感じた時などは、首や背中、脇の下などの広い範囲で汗をかきます。
一方、更年期の汗は顔からかき始めることが多く、頭部や首周り、胸などの狭い範囲を中心に発汗が見られるでしょう。
また、手足が冷えていたり涼しいと感じたりしていても、顔や胸から汗が流れ落ちているというケースがあります。
更年期の汗の症状や状態
更年期の汗は、流れ落ちるような多量の発汗であるケースが一般的です。なかには、急激に顔が熱くなる症状を伴うことがあり、”ホットフラッシュ”や”のぼせ”、”ほてり”とも呼ばれます。
そのほかにも、動悸や息苦しさ、息切れなどの症状を伴う場合があります。特に汗をかきやすいタイミングや状況は、主に以下の通りです。
- 暑くないのに顔や頭から汗をかく
- 突然上半身が熱くなってきて汗が吹き出る
- 緊張した時や感情が昂った時に汗の量が増える
- 就寝中に目が覚めるほどの多量の汗をかく
また、汗腺が老化していると、汗の分泌に濾過機能が追いつかず、汗に不純物が混じります。
そのため、更年期の女性は、ベタベタして臭いが強い汗をかきやすい傾向にあります。
更年期に汗が止まらない原因
ここでは、更年期に汗が止まらない原因を解説します。
- 身体が大きく変化するから
- エストロゲンの分泌量が減少するから
- 自律神経が乱れているから
- 大きなストレスを感じているから
- 疾患を抱えているから
上記5点の原因を詳しく解説するので、あてはまるものがあるかチェックしましょう。
身体が大きく変化するから
更年期とは閉経前後5年間のことであり、期間は10年間程度です。50歳頃に閉経する女性が多いとされており、45〜55歳頃の女性が更年期に該当します。
40歳に差し掛かった頃から次第に”エストロゲン”という女性ホルモンの分泌量が低下し、45〜55歳にかけて急激に低下する点が特徴です。
エストロゲンの分泌量の低下に伴い、月経周期を始めとした身体にも大きな変化が生じます。
身体がエストロゲンの急激な減少に追いつかないことで生じるのが、”更年期症状”です。
ホットフラッシュは更年期症状の1つであり、エストロゲンの分泌量が低下した状態に慣れる55歳以降に落ち着く傾向にあります。
エストロゲンの分泌量が減少するから
更年期を迎える前の女性は、エストロゲンと”ニューロキノンB”などの脳内物質がバランスを取りながら、脳の体温調整中枢を制御しています。
しかし、更年期の女性は卵巣機能が低下するため、充分な女性ホルモンのエストロゲンが分泌されません。
その結果、体温調整中枢をうまくコントロールできなくなり、ホットフラッシュを招くとされています。
自律神経が乱れているから
本来、脳の視床下部から脳下垂体に指示が伝わり、卵巣からエストロゲンが分泌される仕組みになっています。
脳の視床下部はエストロゲンの分泌を促そうと指示を出しますが、更年期の女性の卵巣からはエストロゲンが充分に分泌されません。指示が卵巣に伝わっていないと認識した脳が混乱し、自律神経のバランスが乱れます。
自律神経には汗腺を調整する作用があるため、発汗量をうまくコントロールできなくなるでしょう。
大きなストレスを感じているから
ストレスや緊張、不安を感じると、血圧や心拍が上昇して交感神経が優位に作用します。
特に更年期は、女性ホルモンのバランスが乱れて、心身の不調や仕事・家庭の悩みなどが原因のストレスを抱えやすい時期です。
副交感神経とのバランスが崩れることで、体温のコントロールがうまくいかなくなった結果、大量の発汗に繋がります。
疾患を抱えているから
”バセドウ病”は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患です。男性に少なく、20〜40代の女性に多いとされています。
新陳代謝や成長などに関わる甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、多量の発汗や動悸、息切れや手指・足の震えなどの症状が起こるでしょう。
適切な治療を受けると症状の緩和が見込まれるので、バセドウ病を疑った場合は医療機関を受診してください。
更年期が原因の汗を予防する方法
更年期による汗は、日常生活を見直すことで予防できる場合があります。
- 生活習慣を見直す
- 湯船に浸かる時間を長くする
- アロマでリラックスする
- 軽い運動・ストレッチを行う
上記4点の方法を詳しく解説するので、発汗に悩んでいる人は取り入れてみましょう。
生活習慣を見直す
寝不足や不規則な生活、乱れた食生活などは、自律神経が乱れやすくなる原因の1つです。
更年期の女性は、以下の点から生活習慣を見直してみましょう。
- 朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
- 毎日同じ時間にベッドに入る
- 栄養バランスの整った食事を3食しっかりと摂る
特に、食事内容に気を配ることで、体の内側から健康をサポートできます。
なかでも”大豆イソフラボン”にはエストロゲンに似た作用があるため、大豆製品を積極的に摂ることがおすすめです。
また、一汁三菜を心がけると品数が増えるだけでなく、自然と栄養バランスが整います。
湯船に浸かる時間を長くする
普段からシャワーだけで済ませてしまう人には、ぬるめのお湯にゆったり浸かることがおすすめです。
湯船に浸かる時間が長くなることで副交感神経が優位になり、乱れた自律神経のバランスが整いやすくなります。その結果、疲労回復やリラクゼーション効果を期待できます。
アロマでリラックスする
アロマの香りは、自律神経やホルモンのバランスを整えることに役立ちます。アロマの精油で制汗スプレーを作ったり入浴剤代わりに使ったりして、ホットフラッシュをケアしましょう。
特におすすめのアロマは以下の通りです。
おすすめのアロマ | 期待できる効果 |
クラリセージ | ● 高いリラックス効果で気持ちを落ち着かせる
● エストロゲン様作用で女性特有の不調を緩和する |
サイプレス | ● 更年期症状などの女性特有の悩みを解消する
● 開いた毛穴を引き締めて肌の状態を整える ● 緊張やイライラを鎮めて心身をリフレッシュする |
クラリセージはエストロゲンと似た作用が期待でき、女性ホルモンの乱れによる更年期症状にアプローチします。
サイプレスにも、”セドロール”というエストロゲン様作用がある成分が含まれています。スッキリとしたウッド系の香りで、発汗やホットフラッシュによる不快感も和らげるでしょう。
※参考1:クラリセージとは?種類や効能・精油の活用方法を紹介丨日本アロママイスタースクール
※参考2:サイプレスとは?種類や効能・精油の活用方法を紹介丨日本アロママイスタースクール
軽い運動・ストレッチを行う
軽い運動やストレッチには、体温調節機能を高める効果が期待できます。
体温調節機能の低下は体温の上昇や過剰な発汗を招き、ホットフラッシュを引き起こすとされているためです。
また、適度な運動はエストロゲンの分泌をサポートするので、ホルモンバランスが整います。エストロゲンの分泌が促されることで、ホットフラッシュによる症状緩和を目指せるでしょう。
さらに運動は、ホットフラッシュだけでなく、他の更年期症状や骨粗しょう症や肥満の予防にも役立ちます。個人の体力に合わせて、無理せず続けられる強度の運動を選ぶことが大切です。
更年期に汗が止まらないときの対処法
更年期に汗が止まらない時は、適切な対処法を取り入れることで、症状がおさまるケースがあります。更年期に汗が止まらないときの対処法は、以下の通りです。
- 汗を止めるのに効果的なツボを押す
- 着脱しやすい服で温度調節する
- 汗対策のグッズを常備する
上記3点の対処法について詳しく解説していくので実践してみましょう。
汗を止めるのに効果的なツボを押す
場所やタイミングを選ばずに汗を止められる方法として、ツボ押しが挙げられます。
外出先や仕事中などに汗が気になったら、以下のツボを押してみましょう。
大包(だいほう) | みぞおちお真横、脇から真下に降ろした第6肋骨の下あたり |
屋翳(おくえい) | バストトップと鎖骨を結んだ中間地点で、第2肋骨と第3肋骨の間 |
腕を組むようにして大包を中指で、屋翳(おくえい)を親指で同時に2分ほど押してください。
ただし、強く押したからといって、効果が強まるわけではありません。適度な力加減で押すのがポイントです。
着脱しやすい服で温度調節する
ホットフラッシュによるのぼせやほてりは、服の中に熱がこもると引き起こされます。脱ぎ着しやすい衣類を取り入れると、温度調節しやすくなるでしょう。
特に、ストールやカーディガンは冷え対策になる一方、ほてりが気になるタイミングですぐに脱げるので便利です。
また、「衣類に汗がしみて目立つと恥ずかしい」という人は、機能性インナーを活用してみましょう。脇に汗取りパッドのついたものや、吸水速乾性が高いものなら、汗を気にせずにお洒落を楽しめるのでおすすめです。
汗対策のグッズを常備する
汗対策のグッズを常備して持ち歩くようにすれば、外出先で慌てて対処する必要はありません。おすすめの汗対策グッズは、主に以下の通りです。
- 吸水性の高い厚手のタオル
- 濡れたタオルを入れるビニール袋
- 冷感スプレー
- 汗拭きシート
- 保冷剤
- 化粧落としシートやメイク道具
吸水性の高い厚手のタオルなら、突然汗が出てきた時も安心して対応できるでしょう。
また、汗によってメイクが崩れてしまった際も、化粧落としシートで一旦メイクをオフし、メイクをし直せば、キレイな状態を保てます。
それでも更年期の汗が止まらないときは医療機関に相談しよう
生活習慣を見直してみても、なかなか症状の改善につながらない場合、医療機関に相談してみるのも選択肢の一つです。
適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できるケースもあります。更年期の汗が止まらないときに、医療機関で受けられる治療は以下の通りです。
- 薬物療法
- 心理療法
- 漢方薬
上記3つの治療について分かりやすく解説していくので、医療機関の受診を検討している人はチェックしてみましょう。
薬物療法
更年期症状の治療で行われるのは、基本的に薬物療法です。「ホルモン補充療法」によって、減少したエストロゲンを薬剤で補います。
薬剤の摂取方法は経口薬や注射、点滴などさまざまです。精神症状が強く現れている人には、以下のような向精神薬が処方されることもあります。
- 抗不安薬:イライラや気分の昂りを鎮める
- 抗うつ剤:気分の落ち込みや不安を和らげる
- 睡眠導入剤:寝つきを良くしたり、睡眠の質を向上させたりする
精神症状を伴っている人や、緊張感や気分の昂りによって発汗量が増えている人は、向精神薬による治療も視野に入れましょう。
心理療法
心理療法とは、いわゆるカウンセリングのことで、心理カウンセラーや臨床心理士と対話をします。抱えている悩みや思いを話すことで、イライラや不安の原因を探す治療法です。
薬剤を使用する必要がないので、向精神薬に抵抗のある人でも安心です。
漢方薬
更年期による汗は、漢方薬で症状を和らげられます。ホルモン補充療法に比べて期待できる効果はマイルドですが、副作用がほとんどないのが特徴的です。
主な漢方薬と、期待できる効能・効果は以下の通りです。
おすすめの漢方薬 | 主な効能・効果 ※一例 |
知柏地黄丸 | ● 顔や四肢のほてり
● 排尿困難 ● 頻尿 ● 汗が止まらない |
抑肝散加陳皮半夏 | ● 神経症
● 不眠症 ● 更年期障害 ● 血の道症 |
加味逍遙散 | ● 冷え症
● 虚弱体質 ● 月経不順 ● 更年期障害 |
※参考2:【漢方解説】イライラに抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)|緑の漢方セラピー|クラシエ
※参考3:【漢方解説】加味逍遙散(かみしょうようさん)|漢方セラピー|クラシエ
ただし、漢方薬は体質に合ったものを選ばなければ、かえって症状が悪化したり、コンディションが崩れたりすることがあります。
自己判断で漢方薬を選ぶのではなく、漢方薬の専門医に処方してもらうと安心です。
更年期の汗に関するよくある質問
最後に更年期の汗に関するよくある質問を紹介します。
- 部位によって汗のかき方は異なる?
- 更年期の止まらない汗はいつまで続く?
- 更年期以外の汗の原因は?
順番に回答します。
部位によって汗のかき方は異なる?
体の部位によって、汗のかき方が異なることはありません。ただし、前述のように更年期の女性は汗腺の老化によって、老廃物を多く含む汗をかきやすいです。
そのため、発汗量の多い顔や首まわり、胸などは、「ベタベタとした臭いの強い汗が気になる」と感じる人もいるでしょう。
更年期の止まらない汗はいつまで続く?
更年期によるホットフラッシュの期間は、個人差があります。
閉経から5年ほどで治まるのが一般的ですが、なかには10年以上続く人もいるでしょう。
更年期の症状がなかなか軽減されないことで強いストレスを感じ、かえって症状が悪化するケースも珍しくありません。
生活習慣を見直すと共に、必要に応じて婦人科の受診も検討してください。
更年期以外の汗の原因は?
年配の女性に発汗量が増える原因には、自律神経の乱れが挙げられます。ストレスや精神的な緊張、不安などは、交感神経を優位にし、発見量の増加につながるでしょう。
また、糖尿病によって血糖値が高くなると、血管だけでなく神経にもダメージを与え、汗のコントロールが上手くいかないことがあります。
汗の量が増えるだけでなく、特定の部位から多量の汗をかく人は少なくありません。
汗のかき方が以前と変わったり、甘酸っぱい独特な臭いの汗を大量にかいたりしたら、糖尿病を疑いましょう。
更年期で汗が止まらないときは原因を知って予防・対処しよう
更年期は、エストロゲンの分泌量の減少や自律神経の乱れなどが原因で、汗が止まらなくなる女性が多いです。
日常生活を見直すことで症状が和らぐこともあるので、規則正しい生活習慣を心がけたり、ゆったり過ごせる時間を設けたりしてください。
ツボ押しや衣類による温度調節も、汗が止まらない時に有効です。万が一、対処しても汗が止まらない場合は、医療機関に相談し薬物療法や心理療法を検討しましょう。